世紀の空売り

本日の一冊は、マイケルルイスさんの「世紀の空売り」です。英語名はThe Big Short. 名前の通り、価値が下がるほうに賭けることをショートといい、これが空売りです。ちなみに逆はロングです。
賭けるとかの言い方からも分かるとおり、この本は2008年の金融危機について書かれたノンフィクション作品です。そして「そういうのはもう沢山読んだよー」という人にこそ、この作品はオススメできる本だと思っています。その理由は以下のとおり。

  1. CDSCDOなど理解が難しい金融商品についての説明が非常に明快で、且つ作品中で何度もその詳細を振り返ってくれるので理解し易い。
  2. 金融危機に関わった多くの人が実名で登場。複数立場の人物が持つ様々な視点を得られる。
  3. 金融システムが「崩壊する」方に賭けた三組について詳細に調べてあり、サブプライムローンのシステム自体がダメになると思った側の考え方を学べる。

金融危機についての書籍では難しいことをダラダラと並べている事が多いと思いますが、本書は複数の視点から「損をする」側と「得をする側」の両方について詳しく書いてあり、日本語訳も素晴らしい。理論中心の難しい本とはまったく異なるものであり、難しいことを易しく解説してくれている良書だと思います。

金融危機についてちゃんと理解しておきたい、もう一度振り返っておきたい、そんな人におすすめです。10点。

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