2011年に読んだ本ベスト20/400冊

今年も例年通り大体400〜500冊前後の本を読むことが出来ました。基本的には読書メーターにて記録を取るようにはしているのですが、おそらく、かなりの量を記録し忘れているため実際にはもっとたくさんの本を読んでいるはずです。
大体500冊と聞いて、多いと思う方や少ないと思う方両方の意見があるかと思いますが、大切なのはその中でどれだけ最高の本達に出会うことが出来たかという点に尽きると思います。たくさん読めばその可能性は大きくなるかもしれませんが、単純に読めば良書に当たるというわけでもありません。だからこそ、今回は僕なりの2011年ベスト本を20冊くらいにまとめることで、この記事を読んで下さっている誰かのお役に立てたらなと思います。
なお、普段から多様なジャンルの本に触れるよう意識はしていますが、基本的にはビジネス書を中心によく読むため、選ばれる本としてもその類の書籍が多くなります。

【今年のNo.1】

ニューヨーク流たった5人の「大きな会社」

「自分で自分を雇う」がこの本のキーワード。世の中の多くのビジネス書は、今いる組織で成果をあげるためにorより良い職場ではたらくためには〜のような物がとても多い。けれど、本書のように「自分で自分を雇う」生き方を勧める本は非常に少なく、この本は僕に新たな視点を二つもたらしてくれました。その一つは今いる組織に囚われないということ、そしてもう一つは自分らしく生きるために転職だけがその手段ではないということです。本書は素晴らしい。少し古い本ですが、100円で売ってることもよくあるのでコスパの面でも一番です。


【起業】

「自分で自分を雇う」ことが素晴らしいのは前述の本を読めば分かるはずです。問題は"どうやって"それを実現するか。その問に対する答えを探すために、僕は先人の行動から学ぶこととしました。つまり「自分で自分を雇う生き方」をした実例に触れるということです。そこでお勧めなのが次の四冊。

Founders at Work: Stories of Startups' Early Days
Jessica Livingston
Apress
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Founders at work

タイトルそのままです。有名どころでいうとGmailとかです。原書の方が安いので英語が分かる方は洋書での購入をオススメします。
日本語版はこちら→Founders at Work 33のスタートアップストーリー

The Monk and the Riddle: The Art of Creating a Life While Making a Life
Randy Kosimar
Harvard Business School Pr
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The Monk and the Riddle

先日読んだ本に書いてあったんですが、自分がした失敗から学ぶのは勿論のこと、それ以上に大切なのが「先人の失敗から学ぶ」ことです。知ってる人からは出来るだけたくさん教えてもらうべきです。そのために、僕は本書をおすすめします。これは起業するにあたり必読な一冊。人生は仕事ばかりではなく、しかもその中で何を優先すべきなのか、起業家として何を大切にすべきなのか、そんなことをこの本は教えてくれます。欧米のビジネススクールで教科書として取り上げられるくらいの本なので、興味がある人は必ず読んでおくべきかなと。

Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方
Eric Sink エリック・シンク
翔泳社
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Eric Sink on the Business of Software 革新的ソフトウェア企業の作り方

これは上二つをミックスしたような内容なので割愛してしまいますが、紹介しておきたかったので簡単に掲載。

ネットで生保を売ろう!
岩瀬 大輔
文藝春秋
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ネットで生保を売ろう!

最後に、日本における最も革新的な会社の起業についてまとめたのが本書。ライフネットは本を出し過ぎな印象がありますが、とりあえず岩瀬大輔さんのこの本一冊読んでおけば大丈夫だと思います。


シリコンバレー

グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ
ティーブン・レヴィ
阪急コミュニケーションズ
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グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ

これは最近出たばかりの一冊。これを取り上げた理由は、これまでに読んだどのGoogle本よりも内容が濃くそして深かったからです。スタンフォードで起業したあたりの内容はこれまで他の本でも読んだような内容でしたが、それだけで本書の価値が下がることはありません。帯にもあるとおり、これまでのGoogle本の価値がなくなってしまうほどのスゴイ一冊です。

ヒューマン2.0
これは個人的によく拝見しているこのブログで紹介されていたことがきっかけで読み始めました。本書の特徴は「新しい生き方」を提示している点にあります。やりたいこと、好きなことを突き詰めて行くことの素晴らしさがよく表現されているのではないかと。特に、シリコンバレーに興味のある方は読んで後悔することはないはずです。

エンジニアとしての生き方

今の自分の仕事は「頼まれなくても自分から喜んで残業するほど楽しい」仕事ですか?

もしそうなら、この本はあまり読む必要がないかもしれません。けれどもし答えがノーなら、この本は読み手の意識を変える手助けになるはずです。タイトルのエンジニアはあまり関係ありません。取り上げる例としてエンジニアがあるだけで、ウェブ業界に限らず、就職活動中の学生にもオススメできる本です。著者のブログもよく拝見してますが、とても面白いです。


【グローバル】

米国製エリートは本当にすごいのか?
佐々木 紀彦
東洋経済新報社
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稼ぐ人、安い人、余る人―仕事で幸せになる (幻冬舎文庫)
キャメルヤマモト
幻冬舎
売り上げランキング: 314635
仕事で成長したい5%の日本人へ (新潮新書)
今北 純一
新潮社
売り上げランキング: 87830
米国製エリートは本当にすごいのか?
稼ぐ人、安い人、余る人
仕事で成長したい5%の日本人へ

この三つにはグローバルな視野を手に入れるためのとても良質な内容が書かれています。かなりの冊数の中から厳選した本なので三つ全てが必読だと感じていますが、キャメルヤマモトさんについては出版されている著書の全てがオススメです。


【困難を乗り越える】

ただマイヨ・ジョーヌのためでなく

死の病にかかった人がこれまでの仕事をやめて、やりたかったことに突然取り組み始めるということはよく聞く話です。その時に影響しているのは残りの人生が短いという危機感にあり、成し遂げるためのあらゆる障害をそれが消し去ってしまいます。その際に障害となっていた心理的な要因はレジスタンスと呼ばれ、あらゆる言い訳などを意味します。
本書の主人公もまた、同じように癌に犯されていることを知ります。それも人生の絶頂期においてです。人生が終わるかもしれないという大きな困難から這い上がる勇気をもたらす本書は今年読んだ中でも限りなく一番に近かった本でした。

We can do it
裸でも生きる

この二冊は是非セットで読むべき本です。異国の地で日本人であることを強みにする、これができてしまうことはそう多くないと思いますが、このお二人は日本人であることを強みとして活かしているように僕には映りました。ソーシャルビジネスに興味のある方は二冊とも好きなんじゃないかなと思います。


【才能】

天才は冬に生まれる (光文社新書)
中田 力
光文社
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天才!  成功する人々の法則
マルコム・グラッドウェル
講談社
売り上げランキング: 1139
天才は冬に生まれる
天才! 成功する人々の法則

中田力、マルコム・グラッドウェル。この二人をひとまとめにするのはかなり強引かもしれませんが、僕自身の理解では、お二方は同じ内容に対して二つの異なるアプローチから一つの仮説を導き出しています。つまり、天才という才能に対しての脳科学からのアプローチと、実例を詳細に分析したアプローチ手法の二つのやり方です。前者にははっきりとした根拠はありませんが、後者とほぼ同じ仮説が導きだされており、最終的には天才と呼ばれる人々が持つある傾向へと集約していきます。


【ヒューマン】

人生を料理した男

主人公は麻薬の元バイヤー、現在全米トップレベルの料理人です。タイトルにもなっているとおり、麻薬のバイヤーとして無駄にしていた人生をうまく料理してしまった、みたいな内容です。刑務所に収監されてからが面白くなるので、最初の部分は読み飛ばしても大丈夫です。

無駄に生きるな熱く死ね
直江 文忠
サンクチュアリ出版
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無駄に生きるな、熱くしね

これもタイトルそのままです。くじけそうになった時にこれを読めば自分の考えの甘さ、今の環境が如何に恵まれているのかを改めて実感できるはずです。著者は台湾のスラム街出身。努力に励む様子は人間のレベルを遥かに超えてます。本当にすごいです。

知花くららの「てーげーでいこう!」
知花 くらら
小学館
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知花くららの「てーげーでいこう!」

この本はこれまでに取り上げた本とはかなり趣が異なる本かもしれません。ただ、僕自身が考えるモデルの人のすごい点として自分磨きに対する情熱の大きさが挙げられます。押切もえさんもそうですし、知花くららさんも同様です。

幸福の習慣
幸福の習慣
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トム・ラス ジム・ハーター
ディスカヴァー・トゥエンティワン
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幸福の習慣

ストレングスファインダーといえばかなりの方が聞いたことがあるかもしれません。それを提供しているギャロップ社が「幸福とは何か?」「どうすれば幸福は手に入るのか」というテーマを元に、1950年代から50年以上かけて取り組んできた調査の集大成ともなる1冊です。世界人口の98%にあたる150カ国での調査を、本書の著者トム・ラスとジムハーターが分析した結果として「幸福の5つの要素」をまとめています。これはかなり説得力のある本でした。わりと新しい本ですが、新年を始めるにあたりその過ごし方にも影響を与えるはずです。


【ビジネス】

アナタはなぜチェックリストを使わないのか?

アトゥールガワンデさんの「アナタはなぜチェックリストを使わないのか?」これも素晴らしかった。チェックリストを使うことは恥ずかしいけれど、それを使うことにより得られる利益は、その恥ずかしさや導入の手間を遥かに凌駕することを本書は実際の事例(医療、投資、航空)を元に解説しています。巻末の「チェックリスト作成のためのチェックリスト」が付いていることも抜け目がない印象。絶対に買いの一冊。

外資系トップ営業マンは「捨てるお客」を上手に選ぶ!
森瀬 教文
オーエス出版
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「伝説の社員」になれ! 成功する5%になる秘密とセオリー
外資系トップ営業マンは「捨てるお客」を上手に選ぶ!

この二冊はモチベーションを高めるために非常に有用です。特に二冊目の「外資系トップ営業マンは捨てるお客を上手に選ぶ!」は最高です。タイトル、表紙など全体的に怪しい感じがしますが、中身はとてもまともでした。

久しぶりにブログを更新したのでそれなりに長い記事になってしまいましたが、一冊でも気になる本があれば是非読んでみてください。

2011年11月23日の日記

New World OrderNew World Order / psd

今日が休日だと知ったのは午後になってから。

それでも、特別何かした一日〜という訳ではなく、自分にとって一番大事なことに時間を使うことが出来た素晴らしい一日になったと思っています。

では、「自分にとって一番大事なこと」とは何なのかというと、今は「自分を見つめ直すこと」です。

自分のことをしっかり見て、何を考えているのか悩んでみたりするだけなんだけど、いざ文章化してみると無駄な時間を過ごしているような印象さえ与えているかもしれません。けれど、実際僕にとってはとても大事なことであり、一人になる時間をしっかり取って、ゆっくり考え事が出来るということはとても大切。

"余裕"という言葉が今日の自分にとってある種キーワードになっているように、時間に余裕が出来れば、気持ちにも余裕が生まれるし、そうすれば行動にも余裕が生まれる。こういう良い考え方を行動に繋げていきたいし、そういったプラスの連鎖については常に意識していたいなと思っています。

突きつめていけば、きっと自分自身はこういう所から形作られるものと思うから。

アントニオ猪木の言葉

それでいい 心の赴くままに
勝手気ままに生きてきた

人は言う 「誰もがうらやむ人生だ」と・・・

世の中そんなに甘くない

幾度 頭を下げてきたことか
幾度 涙を流してきたことか

その度ごとに 惨めな自分と出会ってきた
その度ごとに 尖った自分が削られてきた

でも人間は 坂道を登っている時には
頭を下げ下げ 歩いていくもんだ

それでいいんだよ


「猪木詩集 -馬鹿になれー」より

御立尚資さんの「変化の時代、変わる力」

御立尚資さんの「変化の時代、変わる力 続・経営思考の補助線」を買った。前作と同じく内容は多岐に渡り、自分には理解できない部分も非常に多かったが、この本のコンセプトとして「変化」に着目している点には非常に良い印象を持った。

「より強いものが生き残るのではなく、より賢いものが生き残るのでもない。より変化できるものこそが生き残るのだ。」

これはまさに今、日本に求められているものではないだろうか。

今日の東京テレビのWBSにもご出演されるようなので、その時には何かしらのコメントが聞けるのではと楽しみにしています。とりあえず、前著から引き続き素晴らしい本でした。10点。

点と線

Connect The Dots
Connect The Dots / lux.musica.khaos

努力と結果、これら二つはそれぞれ性質が全く異なるものだ。個人的に、努力とは「これまでに費やしてきた労力の密度や大きさ」だと考えている。ジョブズの言葉を借りれば、それら一つ一つは人生の長い道のりの中で「点」として現れる。もしその種類や方向性が一つ一つ違えば、集合体とはならない。つまり「点」のままで終わってしまう。けれども、点が集まればそれは「線」になる。線は点の集まりで、努力の集まりでもある。つまり、線の長さが長ければ長いほど、積み重ねてきた努力も自然と大きくなるはずだ。

視点を変えてみよう。

結果とは、ある日突然現れる。それまで点だったものがふとした時に直線に見えてくる。だが、結果だけを求める人にはなかなか簡単に良い結果はもたらされない。なぜなら、線を構成する点の要素が足りないからだ。

人は結果が出なかった時になって初めて「これまでの」努力が足りていなかったことを実感する。線になるための点があまりに足りていないことを、勝負の日、記念の日などになってやっと理解する。だが、間違いや失敗は人生にはつきものだ。そして、経験から学べば人は良い結果を出す事も出来る。それを教訓として受け入れることが出来ればだが。

こういった時に必要なことは、点を線に変えること。過去ではなく、未来に目を向けて突き進むこと。失敗を教訓として受け入れること。この3つである。

世紀の空売り

本日の一冊は、マイケルルイスさんの「世紀の空売り」です。英語名はThe Big Short. 名前の通り、価値が下がるほうに賭けることをショートといい、これが空売りです。ちなみに逆はロングです。
賭けるとかの言い方からも分かるとおり、この本は2008年の金融危機について書かれたノンフィクション作品です。そして「そういうのはもう沢山読んだよー」という人にこそ、この作品はオススメできる本だと思っています。その理由は以下のとおり。

  1. CDSCDOなど理解が難しい金融商品についての説明が非常に明快で、且つ作品中で何度もその詳細を振り返ってくれるので理解し易い。
  2. 金融危機に関わった多くの人が実名で登場。複数立場の人物が持つ様々な視点を得られる。
  3. 金融システムが「崩壊する」方に賭けた三組について詳細に調べてあり、サブプライムローンのシステム自体がダメになると思った側の考え方を学べる。

金融危機についての書籍では難しいことをダラダラと並べている事が多いと思いますが、本書は複数の視点から「損をする」側と「得をする側」の両方について詳しく書いてあり、日本語訳も素晴らしい。理論中心の難しい本とはまったく異なるものであり、難しいことを易しく解説してくれている良書だと思います。

金融危機についてちゃんと理解しておきたい、もう一度振り返っておきたい、そんな人におすすめです。10点。

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